巻頭言

 

『その場に合わせた最善を』

 

彩の国東大宮メディカルセンター 矢野健太

 

診療放射線技師になって、早6年目となった。この間に仕事では、一般撮影・CT・MRI・AG・TV・PET-CTなど、様々なモダリティを経験し当直業務も行っている。趣味では社会人の付き合いといえば・・・という安易な気持ちで始めたゴルフが、なんだかんだと技師歴と同じ年数ほど続けている。

 

 

 

ゴルフというのは、できるだけ少ない打数で18Hを上がれた者が勝者となる。様々なコースの中、毎回毎回練習場で打てるような球を飛ばすことができれば最高だ。しかし、コースに出れば球を打つところが傾斜であったり、草が生えていたり、はたまた気持ちの面等々でなかなか練習場と同じような球を打つ事は難しい。その中でできるだけ少ない打数で上がる為に、様々な事を考えながらスイングをする。例えば距離がでるクラブでどんどん球を飛ばした方がゴールには近づく。しかし、距離が出るクラブはその分打つのも難しい。「飛ばす!」という逸る気持ちも相まって、ミスショットの可能性が上がる。その為、「前に池があるけどこのクラブでジャストミートすれば池を越えるな」なんて思った時は大抵ミスショットして池ポチャである。なので、場合によってはわざとあまり距離が出ないクラブで打ったりする事もある。同じように足場が不安定な傾斜などの時も、いつものようにスイングをするのではなく、わざと弱めにスイングしたりもする。このように、「こう打てたら最高・完璧」よりもその場の状況に合わせた最善のスイングができるよう考えながらゴルフを行っている。

 

 

 

職場でも正解はわからないが、最善の仕事が行えるよう常に心がけている。例えば救急等で、疼痛の訴えがある患者の一般撮影がオーダーされる。その際に完璧な体位で撮影を行い、綺麗な画像を撮影することは診療放射線技師として大切だと思う。ただ、疼痛のある患者に対して、もし無理な体位を取らせてしまうような撮影だとしたら、主治医に確認しある程度の体位で撮影を行い診断が行えるならば、患者にとっても有意義なのではと思っている。

 

 

その場での完璧を追及する事ももちろん大切である。しかし、完璧よりもその場での最善を尽くすことが、時と場合によっては完璧よりも大切ではないかと日々考えている。考えているが・・・明確な答えはないので、様々な選択肢を選ぶ事が出来るよう、ゴルフも仕事も日々精進していきたいと思う。

2019年第3

   巻頭言

 

 

『子育てを通して成長したこと』

 

 

 

上尾中央総合病院 飯島 竜

 

 

 

「子育ては親育て」という言葉があるが、父親になった今、その通りだなと感じる。息子が2歳を迎える頃から、自己主張や要求が増え、いわゆる「イヤイヤ期」がやって来た。成長の段階だと分かっていても、日常生活の疲れから、イライラと怒っている事が増え、子どもの気持ちをくみ取る心の余裕が無かったように思う。

 

 

 

子育てで一番大変だった事は、自分のペースで過ごす事が出来ずに、全て息子のペースで過ごさなければならない事であった。以前は当たり前のようにあった自分の時間や自分が考える効率で物事が進むことが出来なくなった。

 

 

 

業務中は自分の思う効率の中で行動し、働くことが出来るが、家に帰ると正反対の生活のため、考え方を変えなければならないことにとても苦労した。しかし、次第に効率良くは進まない息子のペースに合わせる事が重要だと理解することが出来るようになった。

 

その時に、子育てで必要なのは、息子の要求に対して、その時の気持ちや考えを受け入れる心の余裕を持つことが重要であると感じた。

 

 

 

心の余裕を持つために、まずは、父親である自分自身が行動や生活習慣を見直し、改善しなければならないと感じた。そのため、仕事が早く終わったときは必ず息子と一緒にお風呂に入り、今日何をして遊んだのかどこへ行ったのかなど話す事で息子との時間を作ることにした。また、息子と一緒に寝て、息子が起きる12時間前に起きるようにしている。そうしたことで、1日がとてもスムーズに進み、自分の時間も持てるようになった。

 

 

 

令和元年、私の息子は4歳を迎える。イヤイヤ期も次第に収まったように思えるが、まだまだわがままを言うことも多々ある。しかし、ただいまと疲れて家に帰ったとき、おかえりと私を笑顔で迎えてくれる息子を見ると明日からも頑張ろうという気持ちにさせてくれる。

 

 

2019年第2

   巻頭言

 

 

『禁煙をして感じたこと』

 

 

埼玉県立小児医療センター 藤畑将理  

 

 

 

私は、かつて喫煙者であった。周囲に流され軽い気持ちで始めた喫煙であったが、値上げにも屈せず10年ほどタバコとともに過ごした。徐々に健康志向の考えが広まっていき、喫煙者の肩身が狭くなっていく中、健康のために禁煙を考えつつもできずにいた。しかし、ある時風邪が長引き1週間ほど寝込みタバコを離れたことがあった。これはチャンスかもしれないと思い禁煙を始めた。

 

 私の禁煙方法は、タバコもライターも持ち歩かないようにすることである。最初は、ポケットやカバンの中身が減って違和感を覚えたが、1週間もしないうちにすぐ慣れることが出来た。それよりも大きな問題は、禁断症状の方だった。禁煙した最初は、かなりきつかった覚えがある。1週間のアドバンテージがあるとはいえ禁煙開始直後は、喫煙を再開するいいわけをよく考えていた。また、夢で喫煙をしてしまい、「吸ってしまった」と慌てて起きることも何度かあった。それらに耐えて1ヶ月ほどしたところで喫煙したい衝動はほとんどなくなり、約半年後には夢に出てくることもなくなった。

 

 

禁煙をしてみて感じたメリットとして、健康面では筋力や体力が付きやすくなった。私は自転車通勤なのだが、到着してからの疲労感や息切れがほとんどなくなった。また、病気にもかかりにくく、治りやすくなった。経済面では、月1万円弱のタバコ代が趣味に回せるようになった。しかしデメリットもあり、私の場合体重が劇的に増加してしまった。禁煙に成功した知人から聞いた話では35kgぐらい増えるということだったが、私は最高で15kg増加してしまった。この当時は、ズボンのサイズがきつくて大変だった。流石にダイエットを始め、現在ではそこから5kg減少している。デメリットも大きかったが、健康や財布などへのメリットと比べると禁煙したことは、良かったと思っている。

 

 

このように禁煙は成功に終わり、達成するまでにはとても辛い時期もあったが、得られたものは大きかった。禁煙だけに関わらず、どんなものにも始める時には、多くの苦労があるだろう。しかし、それを恐れず新しいことにチャレンジしていくことで、よりよい人生を送っていけるのではないかと禁煙を通じて感じた。

 

2019年第1

巻頭言 

 

『健康管理を考える』

 

さいたま赤十字病院 田中里奈  

 

 「健康管理も仕事のうち」と言われている。確かに体調不良や疲労が蓄積した状態だとミスが増え、業務のパフォーマンスが落ちてしまう。そしてその穴埋めを誰かが担わなければならない。毎日の業務を最高の状態でこなすためにも、良い環境で仕事をするためにも健康管理は欠かせないものである。

 

 学生の頃は体調を崩すことなど滅多に無く、学校にもほとんど休まず通っていた。しかしここ数年は、季節の変わり目には必ずと言っていいほど風邪をひく。体調を崩す頻度が多くなり、回復するのに時間がかかるようになった。なぜ体調を崩すのか。身近なようで意外とできていない健康管理について改めて考えてみた。

 

 就職して一人暮らしを始めてからというものなかなか健康に対する自己管理ができていないのが現状だ。時間やお金に自由が増えた分、休日やアフター5に友人と食事やお酒を楽しむ機会が圧倒的に増えた。自炊するときも自分の好きなものばかり作ってしまう。苦手な食材にはなかなか手が出なくなる。栄養バランスを考えた食事を作ることは思っていた以上に難しい。今日こそは早く寝ようと思っていても、結局気が付いたら0時をまわっているし、残業や夜勤で十分な休養が取れない日が続くこともある。こういった自己管理不足が免疫力を下げ、体調不良を招いてしまうのだろう。

 

 規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度な運動、しっかりとした休養。昔から健康を保つために必要な事柄は基本的に変わっていない。生活習慣を整えることが健康的な生活への第一歩である。社会人5年目になり後輩も増えた。勉強のために遅くまで残業している後輩たちに、業務だけでなく健康管理の重要さを教えることも先輩としての役割だと思う。未来の自分のためにも、より良い職場環境作りのためにも健康管理に気を配っていきたい。