巻頭言
埼玉県立小児医療センター 畠山 祥一
私は物事に対して考える際に視野が狭い傾向にあると思う。
私は小学6年にソフトテニスを始めた。中学に入ってからは試合で勝つことも増え、地区大会では同世代の選手よりも速い球を打つことができ、自分でも上達していると感じていた。強豪校の講習会などでは打つ際のフォームについて指導を受けることもあったが慣れないことが多く、違和感が強いためあまり話を聞かないこともあった。今がうまくいっているのでこのままでよいのではないかと思っていた。しかし、それから高校に行って自分で勉強し、ほかの強い選手のインタビューなどを見ていると当時に言われていたことの意味や重要性に初めて気が付き、実践することでより勝てるようになったがもっと早くから始めていればより良い結果を残せたのではと後悔している。自分の今していることがすべて正解であると思い込んでいたが遠回りであったり、なんなら間違いである可能性もある。
私は放射線技師として仕事をして6年目になる。自分で勉強したことや経験したことをメインで考えることが多かったが、それはまだまだほんの一部であるし、自分よりも経験のある先輩方の話や同期、後輩でも考え方ややり方から学べることや、自分にはない視点での考えがあるので多くの話を聞くようにしていき、広い視野を持てるようにしたい。
また、私はコミュニケーションを取ることが苦手である。早口であることと声が小さいため相手が聞き取れないことも多い。ここ数年、コロナによりマスクの着用が当たり前になりなおさら聞き取ってもらえないことが増えた。仕事の際は意識して聞こえるように声量や話す早さに気を付けているができていないこともある。患者への説明や他職種との連携の際にうまく伝えられないと円滑に検査を進めることができないため改善していきたい。
話し方もそうだが伝え方にも注意していきたい。私は自分の伝えたいことを伝えようとするときにすべての内容を伝えようと説明が長くなりがちであるが、人によっては伝わらないこともある。一つの方法だけでなくいくつかの手段を持つことで伝えやすくなると思うので本を読んだり他人の話し方に注意して自分のコミュニケーション能力の向上に努めたい。
巻頭言
ランニングのすすめ
さいたま赤十字病院 大川 斗喜也
最近、街中で走っている人をよく見かけないだろうか。2021年に開催された東京オリンピックや、今般のコロナ禍の影響でランニングブームが起きている。私は一般撮影や救急外来を担当することが多いが、当院は患者数も多く、一日の撮影件数をこなすためにはかなりの体力が必要である。以前の私は、業務後の疲労感がひどく、帰宅後は何もする気が起きずに心身共に疲弊した日々が続いていた。体力作りとストレス解消になればと、実は私もブームに便乗してランニングを始めたひとりである。
私が思うランニングの魅力はまず、自身の成長が距離や時間といった数値として明確に結果に表れる点である。最近では技術の進歩により、スマートフォンやスマートウォッチのアプリケーションと連動して記録やコース、心拍数までも測定することができる。
次に、全て一人で行えるため自由度が高いという点である。目標の設定や練習内容を自由に決められるため、自分のペースで無理なく継続することができ、練習を重ねて目標を達成した時は、とても清々しく達成感を感じることができる。
ランニングの効果は主に二つある。一つ目は、体力の向上などの身体的な面である。心肺機能向上によって体力がつくのはもちろん、新陳代謝の向上にも繋がる。二つ目は、ストレス軽減などの精神的な面である。走っている時は無心になれるため、頭の中が整理される。また、脳内で様々な化学物質が分泌されることによって、ストレスが軽減すると言われている。そして適度な運動は、日常生活にも活力を与えてくれる。ここには書ききれないが、この他にも様々な効果が期待できる。
私はランニングを始めて2年になるが、ランニングを定期的に継続したことにより、体力がとても向上したという実感を持つことができている。以前に比べ、体が軽く感じ、日々の業務はもちろんのこと、業務後においても活動的になることができた。また、ストレスを感じたり気分が落ち込むことがあったりしても、ランニングをすることによって気分転換することができている。さらには、その日の体調によっても記録が異なるため、今まで以上に
自身の体に声を傾ける機会が増えた。それにより日々の食事や睡眠に対しての意識にも変化が生じた。ランニングをすることにより、公私ともにとても充実した生活を送れるようなった。
ぜひ皆さんもこのブームに乗ってランニングを始めてみてはいかがだろうか。
巻頭言
丁寧なコミュニケーション
埼玉県立小児医療センター 茂木健太郎
新型コロナウイルスが流行し始め早くも2年半が経つ。マスク着用や会食を控え、ミーティングや飲み会をオンラインで行うなど、新しい生活様式も今では当たり前に感じるまでに浸透してきた。だが、かつてのように気軽にしていた対面でのコミュニケーションとは違い、感染対策として会話は手短に済ませがちだったり、オンラインではスムーズなやり取りが思ったようにいかなかったりする。
仕事では、上司や部下、他職種、世代の異なる相手がいて、それぞれ異なる考えを持っている。チームで良い仕事をするには良い職場環境、特に職員同士の信頼関係が必要であるが、感染対策として会話も控えめにと言われてしまっては、いっそう職員同士のコミュニケーションが減り、信頼関係も築きにくくなっているのではないか。
私は最近、人間関係で失敗をしている。去年、私は両親たちと2世帯で暮らし始めた。やはりというべきか、一緒に暮らし始めてしばらくして妻と母の関係がうまくいかなくなった。嫁姑問題である。世代間の生活習慣に対する価値観の違いも原因の一つであったが、それ以前に、家族の間柄となったとはいえ、本人同士にしてみれば、まだまだお互い知らない事だらけの”他人”であったのだ。そこを十分にケアしないまま、面倒事を頼んだり、引き受けたりと、空気が読めていなかった私の失敗であった。
その後、私達の仲は1歳半の息子が取り持ってくれた。母には息子との遊びには積極的に関わってもらったところ、息子の振りまく無邪気な笑顔につられ、自然な状態で妻と母がコミュニケーションをとれる環境が生まれた。そして互いの理解と信頼を築くことができたのだ。
さて5月になり、皆さんも新しい人間関係が落ち着いてきた頃だと思う。平時であれば大型連休にBBQで親睦を深めるといった行事がひらかれていたところだが、今年もコロナ禍とあって歓送迎会も行えなかったご施設も多いのではないだろうか。
イベント等の楽しい時間を共有できる場はお互いを知り信頼関係を築くうえで大切だったと思う。家族の間柄でも互いの理解が難しいなら、まして本当の他人ならなおさら丁寧な付き合い方をしなくてはいけないのではないか。
信頼感はこちらからはたらきかけ、相手から得られるものである。信頼感を深める要素を挙げるならば、その人の能力や成果はもちろんだが、誠実さや価値観、相手との接触頻度や自分への関心、といったものがあると思う。これらは相手に対して、丁寧にしっかりと対応し、自分のことを伝えるだけでなく相手の話をきちんと聞き理解を示すことの積み重ねで高められる。これらは簡単ではないが、せめて挨拶や連絡をとる頻度を上げることから始めたい。
マスク着用のせいで表情が読みにくく、対話の機会が減っている今だからこそ、丁寧なコミュニケーションをとるようにしていきたいと思う。
巻頭言
「説明」というコミュニケーション
白岡中央総合病院 木村千尋
私たちは仕事をする上で上司や部下、患者様への接遇など様々な場面で「説明」をすることがある。皆様は相手に“結局何が言いたいのかわからない”と言われたことや、十分な理解が得られず自分の解釈とは異なった情報が伝わってしまった経験はないだろうか。私はそれらを防ぐために常に3つの事を心掛けながら相手とコミュニケーションをとるようにしている。先に結論を述べる、聞き手の理解度を考慮する、内容をまとめることの3点である。
まず初めに、結論から先に述べることだ。結論から述べずに余計なことを話してしまうと、本当に伝えたい重要な情報がそれほど大切でない情報に埋もれてしまう。理由や背景をその次に話すことで、頭の中で整理がしやすくなる。私たちは起承転結の話し方を刷り込まれてしまっているのか、ついつい結論を最後に持ってきてしまいがちである。今から話す内容がどんなものなのかを予告してあげることは、聞き手の負担を大きく減らすことができるのではないだろうか。その上で重要なのは主語を含めて伝えることである。話の内容が一致せず理解が得られないからだ。
2つ目に聞き手の理解能力によって内容を変えることだ。聞き手が一般市民や知識が浅い方の場合、専門用語を使って説明してしまうと理解が得られない場合が多い。例えを使用したり、言い方を工夫したりして、相手の理解能力に応じた説明をすることで、むしろより深い理解を得られると考える。
最後に私が意識していることは、自分が説明したい内容を事前にまとめてから伝えることである。見切り発車で思いついた順に話し始めると時系列がずれたり、話が逸れてしまったりするため自分が何を言いたいのかわからなくなってしまう。それを防ぐためには、説明する前に頭の中を整理し、必要があればメモを使用して話すなどすると相手に伝わりやすくなる。
以上のことを踏まえ「説明」することで、聞き手と上手くコミュニケーションをとることができ、仕事が円滑に進むのではないだろうか。どんな場面でも「説明」できるようになれば信頼を得られ、自分への自信につながるだろう。